会社設立支援の流れ
会社設立に必要な大まかな流れは、次のとおりとなっています。
事前にしっかりと事業設計をしておくことが大切です。
事業計画に合せて役員構成を決定しましょう。
会社の創立記念日はいつがいいですか?
スタートダッシュに向けて、スムーズに手続きを行いましょう。
★事業内容に応じて、必要な資本金をしっかりと見極めることが大切です。
起業には、早い決断と慎重な準備が大切です。
昨今、ビジネスサイクルが短く、スピード経営が求められる時代になってきており、あまり慎重になりすぎるとビジネスチャンスを失ってしまうことがあります。一方で、準備不足のため、起業後すぐにつまずいてしまう方も少なくありません。
例えば、出資金が少なすぎたためにすぐに増資が必要となったり、役員が欠格事由に該当したため交代させなければならなくなったりといったケースを、今までも多く見てきました。また、事業目的(仕事内容)は定款に含めなければならず、あらかじめ、想定される将来の事業内容も把握しておけば、定款変更などの余分な手間を省くことができます。そうでないと、いざ新規事業に進出しようとするときに、スムーズな事業展開が妨げられる事態になりかねません。
1円で株式会社の設立が可能になったからといって、安易に起業することは危険なことです。実際に起業したものの、資本金不足で初年度から借り入れを繰り返し、常に債務超過の状態になってしまうなど、うまくいかないケースも見てきました。
当事務所では、事業内容に応じて、許認可の見通しを判断させていただき、起業後にスムーズな事業展開ができるようお手伝いします。
事業目的(仕事の内容)を決定します。原則として、定款で定めた事業内容においてしか営業活動ができません。従って、設立当初は不要な事業内容でも、将来必要となるかも知れないものは、初めから入れておいたほうがいいでしょう。
代表印は、会社の顔となるものです。登記所や銀行などへ改印手続が必要になったりしますので、気に入らないからといって簡単に変えられるものではありませんから、慎重に作成してください。また、設立登記の際にも必要ですから、早めに作成しておいたほうがいいでしょう。
会社の運営上、他にも社印、銀行印なども必要となってきます。また、会社名、住所、代表者、連絡先などが入ったゴム印があると何かと便利ですから、あわせて作成しておくほうがいいでしょう。
★会社の規模、成り立ち、事業内容によって、最適な人数と役割を考えましょう。
従来は、株式会社の場合、取締役が3人、監査役が1名必要でした。そのため、家族や友人から名義を借りて株式会社を設立するケースも少なくありませんでしたが、新会社法では取締役1名から設立することが可能になりました。
取締役会を置く場合は取締役が3人必要ですので、選任する必要があります。ここで注意すべきなのは、例えば建設業の場合、役員には対象事業で5年以上の経営経験が求められたりといった場合がありますし、欠格事由もありますから、しっかり確認して人選しておきましょう。
昨今のスピード経営が求められる時代においては、事業展開の速度を速めるためにもパートナーがいたほうがいいケースも多いですし、同族経営であれば自分一人だけで始めてもいいのですが、ベンチャーキャピタルの出資が入ってくる場合には監査体制を強化しておいたほうがいいなど、起業といっても様々ですから、事業内容に合せてしっかりと検討しておきましょう。
また、企業経営の立場から見ると、役員登用の基準を設定するなど、幹部を育てる仕組みも視野に入れておくと、なお理想的といえます。
★ | どんな会社にしたいか、事前にしっかりと事業計画を練っておけば、難しいことではありません。 |
定款は、会社の憲法というべきものですし、公証役場で認証を受けると法的効力を持つものとなりますので、内容の検討を充分に行ってください。
定款は、発起人全員で定め、発起人全員の押印が必要です。発起人とは、設立時に出資する人をいいます。
定款には大きく、
2.記載しなければならないわけではないが、記載することで法的効力を発揮するもの=相対的記載事項
3.法的効力はないが、自由に記載していいもの=任意的記載事項
があります。任意的記載事項に関しては、企業ごとにさまざまですから、その会社に合せて作成することが大切です。
・商号(会社名)
・本店の所在地
・出資金
・発起人の氏名・住所
2.相対的記載事項
・株式の譲渡制限について
・株式の内容と数
・取締役の任期延長
など
3.任意的記載事項
・役員の選出や任期などの取り決め
・役員報酬についての規定
・事業年度
・出資者への配当金の支払い時期
・設立時の取締役・監査役・会計参与
など
当事務所では、これらの雛形を用意しているのはもちろんですが、それに捉われず、起業する会社の状況に合せた定款作成をお手伝いします。
★ | 定款には一定の形式がありますので注意が必要です。 |
★ | 書類に不備があると公証役場へ何度も足を運ぶことになりますので、慎重に作成しましょう。 |
定款は、公証役場で認証を受けることで、法的効力を持つことになります。ここは、いわゆる役所の決まりに沿ってスムーズに行うことが重要です。一定のフォームで定款が作られていなかったり、必要な書類がすべて揃っていなかったりで、役場に何度も足を運ぶことがないようにしたいものです。
事前に必要書類や作成フォームをしっかりと確認し、余分な手間がかからないようにしましょう。なお、定款は通常はA4サイズ横書きで作ります。
定款認証に必要な書類は、1. | 定款 | 3通 |
2. | 印鑑証明書 | 発起人全員 |
3. | 収入印紙 | 4万円 |
4. | 認証手数料 | 5万円 |
5. | 謄本手数料 | 250円/枚(定款の作成枚数に応じて) |
6. | 委任状 | 代理人申請の場合(発起人全員が行く場合は不要) |
昨今、手続きの簡素化から電子認証を推進する動きがあり、定款認証においては、上記の収入印紙代4万円が不要になるというメリットもあります。ただし、認証のための電子証明書取得などに別途費用がかかりますので、ご自身で会社設立手続をされる方においては、何社も設立する場合は別として、一般的には電子認証による4万円の費用低減効果は得られません。
専門家に手続きを依頼する場合は、電子定款のための設備(ソフトウェア等)を揃えている行政書士などに依頼したほうが、確実にお得になります。
出資には、現金での出資と現物出資とがあります。可能であれば、現金で必要な出資金を払うのがいいのですが、現金だけでは不十分な場合、不動産などを出資として扱うことができますが、弁護士等の証明や不動産の鑑定など個別に検討が必要となります。
※出資金を借り入れ、会社設立後に返却してしまうことはできません。
出資金は、発起人の一人の銀行口座に入金するという方法で進めてください。その後「払い込みの証明書」を作成し、預金通帳のコピーと一緒に綴じておきます。
なお、発起人の他に株主を募集する方法で会社を設立する場合は、銀行に出資金を払い込み、「払込金保管証明書」を取得する必要があります。
★控え用に同じ書類をもう1部ずつ用意しておくと便利です。
さて、設立登記が完了したら、いよいよ会社の誕生です。登記申請日が「創立記念日」となりますから、縁起を考えて日にちを選ぶのもいいですね。
設立登記は、法務局へ申請します。
申請には、下記の書類が必要となります(一例)。
2.登録免許税納付用台紙
3.定款
4.就任承諾書 ⇒取締役が、就任を承諾したことを証明するもの
5.発起人の決議書(取締役選任・本店所在地に関するもの)
6.取締役の決議書(代表取締役の選任に関するもの)
7.払い込みの証明書
8.資本金額の証明書
9.代表取締役の印鑑証明書
10.印鑑届出書
★ | 多くの手続きは会社を設立してから後に始まりますが、事業を開始してからでは申請できなくなるものもありますので注意が必要です。 |
設立後にも、税金、労災保険、雇用保険、健康保険、年金などの手続が必要です。ようやく登記申請まで漕ぎ着けたのに、まだすることがあるのかと思われるかも知れませんが、設立登記後までを含めて「会社設立のための手続き」とお考えいただくほうがいいでしょう。
ご自身で会社設立の手続きを行うと忘れがちになってしまいますが、これらの手続きも含めてスケジューリングすることに留意してください。設立登記後の手続きまでをスムーズに行うことができれば、気持ちのいいスタートダッシュが可能となります。
また、資金調達は、事業を始めたばかりの会社にとって苦労が多いようです。助成金等をうまく活用して、経営基盤を作り上げて行ってください。
例えば雇用創出助成金など、事業を開始した後では申請ができなくなるものもありますので、注意が必要です。